ホテルオーナーについて
Alex Henry Fosterはカナダ出身のアーティスト、シンガー、ミュージシャン、作家であり活動家であり、モントリオールのバンドYour Favorite Enemiesのシンガー&フロントマンとして知られています。2006年に結成されたバンドは2015年のアルバム『Between Illness and Migration』がカナダのJuno賞にノミネートされました。2018年、フォスターは初のソロプロジェクト『Windows in the Sky』を、Hopeful Tragedy Recordsから発売。2019年、Alex Henry Fosterのソロアルバム『Windows in the Sky』は、ADISQの最優秀英語歌詞アルバムにノミネートされました。
Alexより
僕の親友であり、忠実な仲間であるJeffと一緒に、旧市街の中心に位置する名高いブティックホテルLa Maison de Tangerの新しいオーナーに就任できたことを、とても光栄に思っています。これは長年、思い描いていた夢であり、2020年の3月から準備を始めて、2021年の夏にようやく実現された大きなプロジェクトの一つでした。
それだけでも驚くべきことですが、2021年8月5日は、僕が失意の中、はじめてタンジェを訪れてからちょうど5年目の記念日でした。当時は、感情的に枯れきっていただけでなく、身体的にも疲労し、精神的にも希望を感じられなくなっていました。これ以上、続けていく意味がどこにあるのか、と人生それ自体にまで疑問を持っていました。言うまでもなく、僕はどん底まで落ちてしまっていたのです。長い間、漂うように生きてきたあと、この街の眩い自然に迎えられたというのは、かなり抑えた表現です。この街の特別な雰囲気に身を浸し、ホテルのテラスに座って美しい湾岸を眺めながら、今このメッセージを書けることは、僕にとって心高まる感覚です。しかも、ここは、5年前に父の死を悼みながら、自分に問いかける勇気がなかった質問と向き合って、答えを見つけようとしていた場所からほんの数ブロックしか離れていません。当時、様々に思いを巡らせていたものが、結果的にはファーストアルバム『Windows in the Sky』へと導きました。
もしも、この新しい試みを一つの輪として見るなら、この冒険を、休める場所や悼む場所、人生を考え直したり、個人的な旅をデザインできる場所や、また人生、愛、友情を思い切り味わったりできる驚くほどソウルフルなシェルターを提供する素晴らしい機会として見たいと思っています。もしかしたら、新しい世代を代表する作家、画家、音楽家や、この街の寛容さにインスパイアされ、常に進化し続ける世界でも最も美しいユニークな街であるタンジェの人々に影響を受けた先見の名のある人たちを目撃する喜びを得るかもしれません。僕はこの街に生きる人や文化を信じています。誰もが、誰かになれる場所。最初に足を踏み入れたときに、その人がどんな人間だったかに関わらず、どんな訪問者でも永遠の友人になれるチャンスがある場所。そして、その後、いつでも戻ってこれる場所。その流動的なエッセンスにより、ほんの少しだったとしても、全てが変化する場所。少なくとも、それが僕にとって、多くの人にとってのタンジェです。独自のリズムによって発展する永遠の避難所…自由な場所。
この知らせが、心地良い励ましとして耳に入ることを願っています。僕が新しいホテルのオーナーに就任したことは、たとえ自分を見失ってしまったときでも、また、明日への希望を信じる理由を見つけられないときでも、復活の可能性が全て失われてしまったわけではないという証の一つです。タンジェは過去に何度も見捨てられてきましたが、今や誰もが眺める美しい景色を提供し、これまでにないほど光り輝いています。
愛を込めて,
Alex